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[2005.3] Update
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講演会「ねこの正しい飼い方」(加隈良枝先生)より

徐々に暖かい日が増え、都留もようやく春めいてきました。ねこの活動も活発になり、喧嘩によるけがで来院する子が増えてきました。

ねこにとって外の世界は魅力的であります。その反面、危険もたくさんあります。ねこ同士のけんか、交通事故、ノミダニなど外部寄生虫の感染・・・できれば完全室内飼育で生活させてあげたいですね。

2005年2月5日に都留で「ねこの正しい飼い方」と題した加隈良枝先生の講演がありました。当院スタッフも参加しました。その内容をまとめましたので、参考にしていただけたらと思います。
ねこ
撮影: HIRO
講演会「ねこの正しい飼い方」より 2005.2.5開催
【講師】加隈 良枝(帝京科学大学 理工学部 アニマルサイエンス科)
【主催】動物愛護指導センター 他 
(報告者:中村 歩
ネコの家畜化と品種差
ネコの感覚と行動
子ネコの発達
ネコのボディーランゲージ
ペットとしてのネコ
ネコのストレスと問題行動
問題解消
ネコとの暮らし
ネコの家畜化と品種差
約6000年前からエジプトのリビアヤマネコがねずみ対策として最初に人間と同居が始まったとされていて、犬やヤギ等に比べると家畜としての歴史は浅く、犬のように目的を持って繁殖を進められなかったので、種類・毛・色・体格などの多様化は見られず、犬は約300品種あるのに対しネコは約50品種。
年3回程度の発情があり、人間があどけなさを求め続けた結果、幼形成熟する。
野生の猫は基本的に単独性で、ネズミや小鳥など小型の動物を獲物とするのでなわばりを持ち、集団で生活をし、オスとメスと、その仔猫で集団をなすが、雄猫は成熟すると集団を離れ、メスは残る。
短毛のシャム・アビシニアンなどは活発で人懐こく、よく鳴いて遊び好きだが、犬歯が大きいのでよく咬む子が多いと言われ、長毛のペルシャなどは不活発であまり鳴かないと言われている。
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ネコの感覚と行動
元来は夜行性のため、日中の視力と色覚はヒト以下であり、狩りで距離をはかるため両眼視となっている。
ネズミなど、超音波をだす動物の場所を探すため、超音波などの高音域まで聞こえる聴力を持ち、嗅覚は嗅細胞数・嗅球ともにヒトより多い。ネコは爪とぎやこすりつけで自分の臭いをつけ、身づくろいで自分の臭いを均一にし、他の臭いをとったり、排泄物でマーキングをし、フェロモンと呼ばれる動物同士がコミュニケーションをとるための臭いをフレーメンと言う表情で感じとる。
本能的に砂場で排泄をし、無駄なエネルギーを使わないために1日15〜20時間を睡眠時間にあてる。
肉食動物のなごりで狩りの練習として獲物のような動きによく反応する。
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子ネコの発達
子ネコの社会化期は生後2〜9週で、生後10日から目や耳が開き、刺激にさらされる。
生後3週から狩りの練習を始め、5週から単独で狩りをして、6週くらいで離乳が完了し、14週から闘争行動が始まる。
成長してからの人懐こさは、社会化期で人間に慣れることの他に、父ネコの性質が遺伝する。
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ネコのボディーランゲージ
無駄な争いを避けるためボディーランゲージが発達した。
主に表情・尻尾の向き・体の姿勢で表す。
ヒゲが前を向いていると、機嫌がよく集中している時。耳が後ろを向いていると怖がっている。強いネコは高い位置や縄張りの中にいて体が大きくじっと睨んでいる。
しっぽを上にあげているのは機嫌がよく、仲のよい相手に挨拶をしていたり、食事を食べている。
横たわるのはリラックスしている時で、服従の意味はあまりない。毛を逆立て大きく見せようとしている時は怖がりながら怒っている。
口をあけて犬歯を見せるのは怖そうに見せようとしている。
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ペットとしてのネコ
2003年日本では約809万頭のネコが飼育されていて、室外飼育が約112万頭、室内飼育が約696万頭となってる。
その中の90%が雑種。室内飼育の場合、純血・雑種かかわらず67%が避妊・去勢手術済みと、犬に比べて多い。
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ネコのストレスと問題行動
ストレスとは動物にとって許容しがたい嫌悪刺激およびそれに引き起こされている状態と定義され、ネコにもストレスがかかると問題行動につながることがあり、ボディーランゲージにも表れる。問題行動は排泄物や排泄場所、鳴き声、爪とぎ、攻撃が多くあげられる。
原因は生まれつきの性格や品種の性質・社会化期の過ごし方・環境・生理的原因など様々だが、飼い主の不適切な飼い方、正常を知らない等の知識不足で問題行動を引き起こしてしまう事もある。
アメリカでネコの殺処分の半分以上が問題行動のための安楽死である。
ネコの問題行動はイヌに比べて件数は少ないが、現在のネコは人間への依存が高く、室内飼い時の配慮不足やきちんとしたトレーナーがいないことも問題につながっている。
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問題解消
問題行動は主に下記の4つになる。

(1)行動修正
(2)環境修正
(3)薬物療法
(4)外科的処置

(1)行動修正は、条件をつけて褒美をあげる・慣れさせる・天罰をあたえるなど。体罰など痛みや恐怖をあたえるのはしていけない。また、褒めることに喜びを感じないのであまり効果は見られない。

(2)環境修正はマーキングや攻撃に対して効果が期待できる。安心できる場所を提供したり、ネコの隔離など。

(3)薬物療法は向神経薬・ホルモン剤・抗不安薬・鎮静剤・フェロモン製剤など動物病院で処方してもらうこともできるが、対象療法のため原因の解決が重要になる。

(4)外科的処置としては、避妊・去勢手術や犬歯切除・抜歯、抜爪、声帯除去などがある。

問題行動で多いのが排泄だが、尿スプレーと不適切な排泄場所では原因や対処法が異なるので区別が必要になる。

尿スプレーは未去勢のオスに多く、ストレス・縄張り・他のネコへの挑発からすることが多い。立った姿勢で少量を垂直面にかけ、トイレは普通に使っている。対処法は、去勢手術・フェロモン剤の使用が効果的である。
排泄場所が不適切な時は泌尿器の病気・トイレに対する不満・環境への不安からすることが多い。しゃがんだ姿勢で多量を好みの素材の場所にして、トイレは使用しない。対処法は病気の治療やいろんなタイプのトイレを使ってみて好みを見つける事が効果的。
両方に共通した対処法としては臭いをよく取り除き、排泄しようとしたらビックリさせる。排泄してしまう場所で食餌をあげるようにする・ストレスや不安の改善・ひどい時は薬を使うこともある。

攻撃性に対して原因は様々あるが、ボディーランゲージをよく観察してサインがでたら触らない、関わらない・天罰で気をそらす・少しずつ慣らす・運動でストレスを発散させる・場合によっては去勢手術をする。激しい場合はケージで隔離して落ち着いてから再び慣らして専門医に相談する。
爪とぎは、といでも良い場所の提供、爪きり、天罰などで対処する。

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ネコとの暮らし
ペットを飼うことは、生理的・心理的・社会的に良い効果がみられるが、人に対する配慮、ペットに対する配慮、社会に対する配慮が必要で、動物に対しての知識や情報、法律や地域とのコミュニケーション、相談できる専門家など、適切な生活環境ができるうえで、品種、性別、入手先、入手時期などよく検討し災害時にも備えて名札やマイクロチップの取り付け、ケージに慣らすこと、社会化、食餌の備蓄、基本的なしつけや日々の健康管理や万一病気になったときなどの費用もきちんと家族全員で話し合い、理解してから飼うことが必要である。
(報告者:中村 歩
 
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