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[2005.10] Update
とても多い皮膚のトラブル
わんちゃんの皮膚のお話

ようやく暑かった夏が終わり、都留でもさわやかな秋を感じられる日が増えてきました。当院でも春先から夏場にかけて、たくさんの皮膚や耳の異常を訴えるわんこが来院しました。そこで今回は、わんこの皮膚のお話をしてみます。 長文ですがぜひ知っていてほしいものなので、頑張って読んでみてください。   遊びの秋
遊びの秋

とっても多い皮膚の病気
動物の皮膚は飼い主さんも目にしやすいため、異常が比較的早く見つけられます。病院に来院される患者さんの中でも皮膚の異常はとても多く、全国でも犬では1位、猫でも3位と非常にたくさんの動物が皮膚病に悩まされています。しかし、皮膚の異常の原因は様々で治りきるのにとても時間がかかる場合も少なくありません。

皮膚のしくみ
皮膚は外側から表皮・真皮・皮下組織という3部で構成されています。皮膚といってもただ1枚の皮ではなく、体の維持にとても重要な機能を果たしています。基本的な構造は人とほとんど変わりませんが、異なる点に気をつけてあげましょう。

人との違い
表皮…
犬の表皮は人より薄く、約2分の1といわれています。体を守る一番外側の表皮が薄いため、シャンプーや洋服などの刺激に対して人より敏感です。

毛の生え方…
人は1つの毛穴に1本の毛が生えますが、犬は1つの毛穴から1本の硬い毛と数本の軟らかい毛が生えています。このように毛が密に生えているので表皮が薄くても外からの刺激や温度の変化に対応できています。

表面のpH…
人用の化粧品などで“肌に優しい弱酸性”などとよく言われていますが犬のpHはほぼ中性とされています。このようなことから人用のシャンプーはわんちゃんには使わないであげてください。

毛周期…
毛周期とは毛が生えて抜けるまでの期間のことです。人の体で、頭髪とまゆげで毛の伸び方が違うのは毛周期が違うからです。人の毛髪は約5年、犬の毛は犬種や生活環境によりますが数ヶ月といわれています。

汗のかき方…
人も犬もアポクリン汗腺とエックリン汗腺という2種類の汗腺をもっています。主に汗をかくエックリン汗腺は主に犬の肉球にしかありませんので、体の表面から汗をかくということがありません。

皮膚のお仕事

防御壁…
体内の水分や脂肪などを保持して、寒さ・暑さ・ウイルス・化学物質などの刺激から体を守っています。

感覚…
熱さ、寒さ、痛み、かゆみ、圧迫などの刺激を受けて、脳に伝えています。

温度調節…
血管を収縮、拡張させたり、毛を逆立てたりして血流のコントロール、体外と体内の温度調節をしています。

指標…
皮膚を見ることで全身的な健康状態の目安になります。

ビタミン産生…
太陽光線をうけて肝臓、腎臓と協力してビタミンDをつくります。

かゆみとは何だろう
かゆみとは、脳に掻きたいという気持ちを起こさせる皮膚だけがもつ感覚です。かゆみが起きる原因は、緊張・ストレス・寄生虫・有害物質・病原体などと様々ですが、大きく3つに分けられます。

1)かゆくないかゆみ
一種のくせになっている場合や、掻く動作をしていたらみんなが注目してくれたという経験から学習してこうした行動をとる場合もあります。識別の方法としては、特定の状況でのみかゆそうな行動をとったり、夜ぐっすり眠っている場合はこれにあてはまることがあります。

2)生理的なかゆみ
暑さ、寒さ、何かにこすれるなど、物理的な刺激によってもかゆみは生じます。家庭で飼われている動物は本来生活している環境と異なるので様々な刺激によってかゆみを感じやすい状況にあります。生理的なかゆみが頻繁に起きる時はスキンケアを見直してみましょう。シャンプー剤やブラシの種類、お手入れの頻度など、調節しながらその子に合ったスキンケアを見つけてあげてください。また、季節や犬種でも皮膚の状態が違います。

3)病的なかゆみ
かゆみによって掻きこわしたり、いつ見ても眠れないほどかゆがっている場合は感染症やアレルギー等が原因となっていて、治療が必要となります。

早期発見!
皮膚病は原因が様々なので適切に治療管理するためには「診断」が必要です。皮膚は目で観察できるので、他の病気に比べて診断のための情報量が多いのですが、言葉が話せない動物に変わって飼い主さんからの情報が重要になります。ご家族からの状態、経過など詳しく聞かせていただくことが治療の第一歩となります。特に、今の症状の病歴、過去の病歴、家族の病歴、環境、食事などは重要な情報となります。他にも全身の状態、皮膚以外の気になる点、季節性や発情との関連など、一見皮膚には関係なさそうな事も大切な情報です。そのためには、普段の正常な状態を知ることが必要です。日頃のコミュニケーションで少し気をつけてみるだけで異常の早期発見につながります。

皮膚病治療成功への近道
皮膚病は家族の皆さんも症状が把握しやすい病気です。そのため、良くなってきたからと飲み薬や塗り薬を途中で中断してしまう方がいます。実際にお薬をあげたり、シャンプーをするのはご家族の皆さんです。ご家族が動物の皮膚病を理解して治癒に導いてあげることが大切です。

 
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