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[2009.7] Update
その目的とメリット、デメリット

避妊・去勢手術について

手術のメリット・デメリットはありますが、繁殖を強く望むのでなければ、早い段階での手術を考えてあげてください。
 
1.避妊・去勢手術の目的
望まれない交配による妊娠を避ける

性ホルモンに関連した問題行動の抑制
発情兆候(出血、鳴き声など)、スプレー行動、攻撃性、暴走癖、マウンティング行動など

性ホルモンに関連した疾患の予防
  予防できる病気 かかりにくくなる病気
犬メス ・子宮蓄膿症
・卵巣嚢腫
・黄体嚢腫
・子宮内膜過形成
・子宮腫瘍 など
・乳腺腫瘍
・アレルギー性皮膚疾患
・膣過形成
・脂漏性皮膚炎
・膣脱症
・慢性外耳炎
・糖尿病  など
犬オス ・精巣腫瘍
・潜在精巣
・精巣炎
・精巣上体炎 など
・肛門周囲腺腫
・前立腺過形成
・可移植性性器肉腫
・前立腺嚢胞
・前立腺腫瘍
・会陰ヘルニア など
 
  予防できる病気 かかりにくくなる病気
猫メス ・子宮蓄膿症
・子宮内膜炎
・子宮腫瘍
・持続性発情 など
・乳腺腫瘍
・ウイルス疾患(猫免疫不全、白血病)の感染リスクの減少
・アレルギー性皮膚疾患 など
猫オス ・精巣腫瘍         
・前立腺船肥大
・セリトリ細胞腫 など
・ウイルス性疾患の感染リスクの減少 など
 
2.避妊・去勢手術のメリット
メスにおいて、子宮蓄膿症という疾患があります。これは未経産の高齢犬の雌犬、若齢でも発症がみられます。発情周期に伴って分泌される黄体ホルモンの関与が大きいとされ、このホルモンが長期にわたって子宮へ感作することで子宮に細菌感染を起こしやすい状況をつくりだしていると考えられます。その結果、子宮の細菌感染による膿様物が子宮内に貯留し、治療が遅れるとその細菌が産生する毒素によって死にいたる可能性もある病気なのです。
不妊手術はこの疾患の発症を予防することができます。

乳腺腫瘍に関しても、卵巣摘出(不妊手術)とその発生率に関係あることが明らかにされています。
犬の乳腺腫瘍の平均発症年齢は10〜11歳で、発症率は全腫瘍の約30%、その約50%が悪性腫瘍です。猫の乳腺腫瘍の発症率は全腫瘍の約17%ですが、その80〜90%は悪性であると言われている為、猫では重篤な問題となります。
犬同様に猫においても、6ヶ月以前に不妊手術を行った猫では91%、1歳までに行った猫では86%非避妊メスに比べて乳腺腫瘍の発症リスクの減少がみられたことが報告されています。
このように、犬も猫も早期に不妊手術を行うことによって、乳腺腫瘍の発症率を低下させることができるのです。

オス犬で高齢期に起こる性殖器の疾患として、前立腺肥大症があります。前立腺は年齢とともに大きくなり、肥大が進むと血尿や排便障害、後肢の跛行などの症状を起こします。この病気は精巣から分泌されるホルモンが関与していることが知らされています。去勢手術を行うことで予防することができます。
3.避妊・去勢手術のデメリット
◆肥満
手術を行った後に、肥満になる犬や猫が多く見られます。これは、手術後、基礎代謝率の減少によりカロリー要求量が減るためです。特にオスの場合はテリトリー意識が弱くなり、運動量が減少します。肥満を予防するには、食事をコントロールして摂取カロリーを減らす必要があります。
また、カロリーが低い専用の食事もありますので、これらを利用することで、体重のコントロールができると思います。犬や猫が一度肥満になると、その体重を減らす事は難しいため、手術前に充分に気をつける必要があります。

◆尿失禁

メスの大型犬の副作用として尿失禁が問題となります。
卵巣から分泌されるホルモンが膀胱括約筋の収縮に関与していると考えられます。また、ほとんどの尿失禁は術後数年から、時には10年以上から経ってから発症しています。
小型犬での発症は少ないと考えられています。
この病気は、不妊手術を受けた犬の4%、不妊手術を受けてない犬の0.3%で発生しているといわれていますが、尿失禁を起こす犬のほとんどが肥満であるという事実を合わせると、この病気の直接原因を不妊手術に限定するには無理があります。現時点では神経系の異常を含む複数の要因(肥満・運動不足など)が尿失禁の原因と考えられています。
尿失禁が起きるから不妊手術を勧められないというわけでなく、不妊手術に伴う肥満の予防は、尿失禁を予防するためにも大変重要であると思います。

◆縫合糸のアレルギー反応

以前では血管の結さつに、主に絹糸が使用されてきました。この絹糸などの縫合糸に対して反応が起こります。これは免疫介在性の疾患であると考えられ、その病因については明解されていません。この反応を避ける為、縫合糸による反応を起こしにくいとされているPDSU/マキソン、バイオシンなどのモノフィラメント性吸収糸が最近では使用されています。ミニチュアダックスにおいて異物反応が好発することが知られています。
 
資料:特集不妊・去勢1、asアニマルホスピタル、イラストで見る犬の病気 推称
 
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