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[2009.8] Update
早期発見がカギ

白内障について

今回はわんちゃんの目の病気についてお話したいと思います。

わんちゃんには世の中がどのように見えているのでしょうか?ボールを必死に追いかけて見事にキャッチしたり、通る人々や車を窓越しにじっと見つめている姿をみていると、私たちと同じように見えているのではないかと思いますが、実はそうではないようです。人の目には色を識別する細胞が3種類あり、それぞれ赤、青、緑の色を識別することができます。一方、わんちゃんの目には色を識別する細胞のうち、赤色の細胞が少なく、青と緑とそれらの混合色の世界を見ているのです。また、わんちゃんは近くのものにピントを合わせにくく、止まっているものよりも動いている物に敏感に反応します。

このようにわんちゃんの視覚は私たちと少し違っています。しかし、目のつくりは同じで、光は角膜から入り、水晶体を通して網膜に像を結び、視神経を通って脳へ入っていきます。水晶体という器官は、両凸型で、厚みを調節し、ピントを合わせる機能を持っています。ここからは、その水晶体が濁ってしまう病気「白内障」についてお話したいと思います。

白内障とは、本来透明であるはずの水晶体の一部または全部が濁ってしまった状態のことです。水晶体が混濁すると光が通らなくなり、物が見えなくなるという視覚障害がおこります。白内障の原因には先天性のものと後天性のものがあります。後天性白内障には老齢性、糖尿病性、内分泌、外傷性、中毒性、そのほか遺伝によってみられる若齢性のものなどがあります。そのなかで最も一般的にみられるのは6歳以上の犬での老齢性白内障です。

老齢性白内障の場合、視力に問題が出てきても老化で行動が鈍くなったと飼い主さんが思い、発見が遅くなることがあります。気を付けたい白内障のサインには以下のような事があります。

・歩いていて、物にぶつかる
・慣れない場所や暗い所を怖がる
・トスしたボールを見失う

白内障は水晶体の周辺から混濁が始まり、その混濁が次第に広がっていきます。臨床的には白内障の程度によって「.初期」「未熟期」「成熟期」「過熟期」に分けられます。混濁の広がり方と早さは犬によって様々ですが、程度が進めば進むほど水晶体は白く濁り、強い視力障害がみられるようになります。

白内障は早期で視力に問題のない時期は「抗白内障薬」での治療を開始すれば、進行を遅らせることができます。しかし、進行を阻止することはできません。白濁が進行した白内障では、手術が可能な場合もあります。白内障は発見が遅れれば遅れるほど治療の選択肢が少なくなってしまいます。そのようなことが起こらないよう、日ごろから向かい合い、見つめあうようにして、早期発見に心掛けていきましょう。

(茂木 由香里)
 
参考文献:
「as」2008年10月10日号 インターズー刊
「よく診る犬の疾患・猫の疾患 60」インターズー刊
「イラストで見る犬学」 講談社
 
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